不動産用語集

あ行

アイランドキッチン

壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。

アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。

なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。

アール・デコ

1920~30年代にかけてヨーロッパやアメリカを中心に流行したデザイン・装飾様式。英語のArt Deco。フランス語のart décoratifの短縮語。

直線や立体を用いた静的な幾何学図形をモチーフにし、明るい色を使うことが特徴で、工業製品や近代的都市生活が一般化した時代を背景に、そこに表れた機能的・実用的な美意識を反映した様式であるとされている。

アール・デコを取り入れた分野は、工芸だけでなく、絵画、建築、家具、室内装飾など幅広い。

囲繞地とは

公道に通じていない土地を囲んでいる周囲の土地をいう。

民法は、他の土地に囲まれ公道に接していない土地の所有者は、公道に至るために囲繞地を通行することができる(囲繞地通行権)としているが、これは、囲繞地に対して、囲繞する土地を受益地とする法定地役権が設定されていると考えることができる。

WICとは

上物とは

土地の上に建物が存在しているとき、この建物を「上物」と呼ぶ。

土地に上物がある場合には、土地の状態を示すとき「上物あり」などと表示することが望ましい。

また、不動産広告においては、取引する土地の上に古家、廃屋等の老朽化した上物が存在する場合には、その旨を明示しなければならない(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)が、「上物」が良いものという誤解を招くことを避けるため「古屋あり」などと表示することが望ましいとしている。

SRCとは

「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄骨鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋コンクリートに、鉄骨を内蔵させた建築構造
比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。

S造とは

Sは「Steel」のことであり、「鉄骨構造」という意味である。
鉄骨造とも。

柱とを「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。

主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。

オープンハウスとは

本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。

不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。

か行

改築

建築物の全部もしくは一部を除却すると同時に、これと同様の規模・構造の建築物を建てることをいう。

建築基準法では、改築も「建築」の一種とされており(建築基準法第2条第13号)、改築についても建築確認を申請する必要がある(建築基準法第6条)。

基礎工事とは

建物基礎を構築する工事。建物の基礎は建物と地盤とをつなぐ構造物で、建物の荷重や加わる外力を安全に地盤に伝え、地盤の沈下や変形に対して耐える構造でなければならないとされている。

基礎の形式は、杭を地盤に打ち込んで基礎とする「杭基礎」と、地盤をそのまま基礎とする「直接基礎」とに大別される。直接基礎はさらに、主な柱の下のみに基礎構造物を設置する「独立基礎」、柱や壁の下に連続して基礎構造物を設置する「布基礎」、建物底面の全体を一枚の構造物で支える「ベタ基礎」に分かれる。

なお、基礎の設計・施工に当たっては、あらかじめ地盤調査を実施する必要がある。

 

建ぺい率

敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合(%)。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。

建物の建ぺい率の限度は、原則として、用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。

さ行

市街化調整区域とは

都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。

敷地権とは

一棟の区分所有建物敷地に関する権利をいい、登記によって確定する。

分譲マンションなどの区分所有建物を所有するには、建物自体の所有権区分所有権)と建物の敷地を利用する権利(所有権や借地権であり、敷地利用権といわれる)とを必要とするが、この区分所有権と敷地利用権は原則として分離して処分できないとされており、そのような分離不能な敷地利用権として登記された権利が敷地権である。

敷地権が登記されれば、建物の専有部分の権利変動等の登記に当たっては、敷地利用権に関する登記は省略される。両方の権利が一体化されている効果であり、区分所有建物の取引に伴う手続きが簡略なものとなる。

修繕積立金

管理組合が管理費とは別に共用部分や付属施設などの修繕を目的とした長期計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
管理費と同様、一般的に専有部分の専有部分の面積の割合で月額料金が定められている。

セットバック

2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に接する場合において、建物を建築・再建築する際、道路の中心線から2mとなるよう敷地の一部を後退させることをいう。
なお、セットバックした部分は道路とみなされ、建物を建築することはできない。

た行

地役権とは

地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。

地価公示とは

最も代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。

地価公示では全国で選定された2万6,000地点(令和6年)の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。

地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。

地区計画とは

都市計画において、それぞれの区域の特性にふさわしい良好な環境の街区を形成するために決定された計画をいう。

1.趣旨
都市計画法では適正な土地利用を実現するために、用途地域特別用途地区をはじめとする多様な地域地区の制度を設けているが、都市化の進展の中で、不良な環境の地区が形成される恐れのあるケース等では、地域地区などの規制だけでは対応できない可能性がある。
そこで、特定の地区について土地利用規制と公共施設整備(道路、公園などの整備)を組み合わせてまちづくりを誘導する制度が必要となった。このような目的のために1980年に創設されたのが、地区計画制度である。

2.地区計画の決定
地区計画は都市計画の一つであるので、都市計画の決定手続により市町村が決定する。
具体的には次の1)または2)に該当する土地の区域について地区計画が定められる。
1)用途地域が定められている土地の区域
2)用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの
ア.市街地の開発などの事業が行なわれる、または行なわれた土地の区域
イ.建築物建築敷地の造成が無秩序に行なわれ、または行なわれると見込まれる土地の区域で、公共施設の整備の状況などから見て不良な街区の環境が形成される恐れがあるもの
ウ.優れた街区の環境が形成されている土地の区域

3.地区計画の内容
地区計画に関する都市計画では、地区計画の種類、名称、位置、区域、面積の他、次の事項を定める。
1)地区計画の目標
2)区域の整備、開発および保全に関する方針
3)地区整備計画(詳しくは4.へ)
4)再開発等促進区(詳しくは下記5.へ)

4.地区整備計画
地区整備計画とは、地区施設(主として街区内の居住者等の利用に供される道路・公園・緑地・広場などの施設のこと)、建築物等の整備、土地の利用に関する計画である。
地区整備計画では道路・公園などの整備、建築物等の用途制限、容積率の制限、建ぺい率の制限、敷地面積の最低限度などを詳細に規定することが可能である。従って、地区整備計画はまちづくりのプランであるということができる。
なお、地区計画に関する都市計画では、地区整備計画を定めることができない特別の事情がある場合には、地区計画の区域の全部または一部について、地区整備計画を定めなくてもよいものとされている。地区計画の区域の一部についてのみ地区整備計画を定める場合は、その一部区域をも都市計画に定める必要がある。

5.再開発等促進区
地区計画の区域の内部において、市街地の再開発等を進める場合には、地区計画に関する都市計画において再開発等促進区を定めることができる。再開発等促進区では特別な事項をも定めるものとされている(詳しくは再開発等促進区へ)。

6.地区計画の区域内における届出制度
地区整備計画が定められている地区計画の区域では、土地の区画形質の変更、建築物の建築を行なう場合には、その行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出なければならない。
また地区整備計画において、用途の制限、建築物等の形態の制限、建築物等の意匠の制限が規定されている場合には、それらを変更する行為も30日前の届出が必要である。

仲介とは

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。
媒介」と同意。

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

仲介手数料とは

媒介報酬(仲介報酬)とも。

宅地建物取引業者媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)。

テラスハウス

2階建ての連棟式住宅のことをいう。
隣家とは共用の壁で連続しているので、連棟建て、長屋建てともいわれる。
各住戸の敷地は、各住戸の単独所有となっている。

な行

内装工事とは

建物室内の床、壁、天井などを仕上げる工事。建物の構造体と密接に関係する工事で、室内塗装、フローリングカーペット類の敷設、壁板・壁紙・壁布類の貼り付けなどのほか、一般に、建具の設置、室内の基礎的装飾などのための工事を含む。

なお、照明器具、電気・通信設備、給排水設備、空調設備等の設置工事や家具類の配置工事は、通常、内装工事と区別され、別の工事である。

2項道路とは

建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道のこと。
みなし道路」とも呼ばれる。

建築基準法第43条では、建築物敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

ここでいう「建築基準法上の道路」は原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

は行

媒介契約とは

不動産の売買・交換・賃貸借の取引に関して、宅地建物取引業者が取引当事者の間に立ってその成立に向けて活動するという旨の契約をいい、売主または買主(賃貸借取引の場合には、貸主または借主)と宅地建物取引業者との間で締結される。

宅地建物取引業法は、媒介契約について、契約内容を記した書面の交付義務、媒介報酬の制限などを規定しているほか、媒介契約に従って行なう活動の方法等についてそのルールを定めている。

売買契約とは

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

バリアフリーとは

高齢者や身体障害者など、体の不自由な人々の行動を妨げる物的・心理的障害を取り除くという意味。

バリアフリーデザインはその障害となる物を除去し、生活しやすいよう設計されたものである。段差をできる限りつくらずにスロープ等を用いることも一つの手法である。

平屋・フラットハウスとは

地上階層が1階だけの建物。フラットハウスは和製英語で、英語ではone-storied building(ワン ストーリード ビルディング)、one-story house(ワン ストーリー ハウス)などという。

ま行

間仕切り壁とは

建築物の内部空間を仕切るための内壁のことであり、室と室とを区画する壁のことである。

間仕切り壁は、耐力壁(地震力、風圧力に対抗する壁)である場合もあれば、そうでない場合もある。

町家とは

店舗(商業等の空間)を併設する市街地住宅。一般に、通りに面して店舗があり、その奥に居住空間が設けられている。通りに面する間口は狭く奥に長い空間構成で、通りに面して均等に建ち並ぶことが多い。

町家は、伝統的な構法による木造建築物であることが多く、またまち並みを形成する場合もあり、その再生、活用によって都市再生や地域の活性化を図る取り組みが進められている。

や行

屋根勾配とは

屋根の傾斜の度合い、傾きの角度のこと。

デザイン性のほか、地域によって雨水や雪を適切に落下させるように設計される。また、勾配によって使用する屋根材も選択される。

勾配の表現の仕方としては、水平距離10寸に対する高さを尺貫法による「寸」で表す方法が多く用いられており、そのほか、角度や分数で表現する方法もある。

建築基準法施行令第86条第4項では、積雪地において屋根の積雪荷重を求めるに際し、勾配60度以下の場合には、屋根形状係数を乗じ、60度を超える場合には、積雪荷重を0とすることとしている。

有効採光面積とは

建築基準法第28条第1項においては、住宅等の居室には採光のためのその他の開口部を設け、その採光に有効な面積は、居室の床面積に対して、住宅にあっては7分の1以上、その他の建築物にあっては建築物の種類に応じて5分の1から10分の1以上としなければならないと定められている(ただし、地階等は例外)。

「採光に有効な面積」(有効採光面積)の算定方法は同法施行令第20条および平成15年国土交通省告示第303号に定められており、開口部の面積(一般的には窓の面積)に採光補正係数を開け合わせた数値となる。採光補正係数は、隣地境界線からの距離、窓の位置、用途地域によって変わる。

この有効採光面積が確保できない部屋が建築基準法上「居室」として扱われないこととなり、不動産広告やその間取図などで、「納戸」「サービスルーム」と表記されることとなる。

 

ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは

デザイン思想の一つで、「できるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインする」という考え方をいう。

ロナルド・メイス(ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター所長)が提唱したもので、文化や言語の違い、老若男女の差、障害・能力の如何を問わずに利用することができるように施設・製品・情報をデザインすることを目指している。

その原則として、

1.公平に使えること(Equitable use)、2.高い自由度で使えること(Flexibility in use)、3.使い方が簡単ですぐにわかること(Simple and intuitive use)、4.必要な情報がすぐ認識できること(Perceptible information)、5.誤った使い方が危険につながらないこと(Tolerance for error)、6.身体への負担が小さいこと(Low physical effort)、7.接近・利用のための十分な大きさ・空間を確保すること(Size and space for approach and use)(これらをユニバーサルデザインの7原則という)

が提示されている。

なお、「バリアフリー」は障害者を想定したデザイン原則であるが、ユニバーサルデザインはこれを含むより広い概念である。

ユーティリティとは

住まいにおける家事作業の中心となる室のこと。

家事作業をするために必要な設備が集中的に設けられ、作業台なども整備される事も多い。台所の近くに設置されることが多い。

ら行

ランドリールームとは

洗濯家事のための部屋。「洗濯室」も同じ意味。英語のlaundry-roomであるが和製英語。

ランドリールームを設置すれば、洗濯、乾燥(物干し)、アイロンがけなどの作業を移動なしにできるとされるが、洗面室等と兼用できること、他の家事も並行で行なう場合が多いことなどから、必要性に乏しい。

ランニングコストとは

不動産などの資産を維持管理するために必要な費用。英語のrunning cost。電気料金等、点検費、清掃・補修費など継続的に必要な費用のほか、大規模修繕費など定期的に発生する費用を含むコストである。

ランニングコストは、資産を維持するために必要不可欠な費用であるから、資産の保有に当たって十分に確認しなければならない。

なお、ランニングコストに対して、資産を保有する際に一回限り負担する買収費や手続き費用を「イニシャルコスト」という。

わ行

枠組壁工法とは

木材でつくった枠に、構造用合板等を釘で打ち付けて、壁・床・屋根を形成する工法。
壁そのものが垂直方向と水平方向の強度を持つ点に最大の特徴がある。
本来は北米で生まれた工法だが、わが国では1974(昭和49)年の建設省告示により自由に建築できるようになった。

ツーバイフォー工法(2×4工法)」と呼ばれることもある。